田舎でセレブに憧れての婚活
マコさん(仮名)と初めて出会ったのは、彼女が49歳の時でした。
このままずっと独身で一生を終えることになるのは怖いんです。本音をいうと結婚して遊んで暮らせるセレブになりたい。
そうおっしゃってご入会されました。
当時の彼女は、地元でそこそこの名家のお嬢さんということもあり、また、妹さんがとんでもないハイスペック婚(妹さんご自身も大変なハイスペ女子ですが)をしていることもあって、自他ともに認める
理想が高すぎる婚活女子
の典型のような方でした。最初の面談で出てきた言葉は専業主婦希望、とのこと。今正社員で働いているけれど、不動産関係の仕事は残業や休日出勤もありストレスが溜まるので早く辞めたい。とおっしゃっていました。
お相手の希望ですが具体的には
- 年収は最低800万、その他資産があって子供がいない方
- できれば年下、我慢して年上でも1,2歳まで
- 専業主婦をさせてくれる人がいい
- 結婚後はお友達と自由に旅行がしたい
- 背はそんなに高くなくていいけど、お顔は綺麗な人がいい。お腹が出ているのは嫌。
さらには「優しくて、私のわがままをなんでも聞いてくれる人じゃなきゃ無理。そうじゃないと結婚する意味がないでしょう?」
とおっしゃっていたのです。婚活男性が聞いたら即お断りしそうですよね。
やれやれ困ったぞ
内心私でもそう思いました。正直カウンセラーとしては、最も厄介なタイプなのです。
男性にとってのメリットがわかりづらい
30代、40代の婚活で、まるで10代20代の女性のように結婚とは”王子様とお姫様”になることという夢を持っている人は婚活が大変です。
聞けばお料理は苦手、家事全般嫌いだけど専業主婦がやりたい。子供はいらない。というので、厳しいようですが、実質ニート希望と言っても過言ではありません。
「結婚生活はどっちかがお客さま、というわけにはいかないよ、見返りを求めない”ギブの精神”がないと、誰からも与えられないまま欲しがってばかりで何も手に入らないんだよ」そう伝えたこともありました。
頭ではわかるんですけど、、、と言いつつコツコツ貯金をして、自分磨きを頑張っていたマコさんでした。
ですが、あまりにもお見合いで合う人たちが
理想とはかけ離れている
という現実に、婚活が嫌になってしまった時期もありました。
このように、自分だけにメリットがある結婚を望むと、なかなかご成婚はできません。
例えば婚活をしている男性でも、
- 家事を基本的に全部やって欲しい
- 子供も産んで育てて欲しい
- 働いて家にお金を入れて欲しい
- できれば親の介護もやってほしい
と何でもかんでもあれしてくれ、これしてくれ、のクレクレ星人だとまず結婚は難しいでしょう。せめて家事育児は自分も積極的にやるのが当然、くらいのスタンスが今どき”普通”なのです。
でも宝くじみたいな夢を結婚に求める人っていつの時代もいますよね。結婚を本気でしたいなら、お相手目線に立って”自分と結婚をしたくなるかどうか”考えてみることが大切ですよ。
いよいよ焦りが本格化してくる
「理想の王子様じゃないなら、結婚なんかしなくていい」
と婚活スタートした当時は自分からバッサリとお断りをしていたマコさんでしたが、50歳の誕生日を境にぱったりとお見合いが組めなくなり始めました。そうなると、少し条件を下げてもいいから、会ってくれる人を大切にしなくては、と悩み始めます。
50歳という響きの重さに、さすがに贅沢を言っている場合じゃないと本格的に焦ってきたのです。
自分からもお申し込みをしては断られる、を何度も繰り返した後、ひょっこりお申し込みしてくれたのが、トモナリさん(47歳・仮名)でした。
年収は500万代だし、顔は全然タイプじゃない。でも身長は175cmあってスリム、しかも年下なのは貴重かも。年上だとすぐに定年退職で夫の介護が必要になりそうで不安だから。
そう判断して、お見合いをしたそうです。
その時のことをこう語っていました。以下マコさんの言葉です。
彼をひと目見た瞬間、他の男性たちとは全然違うと思いました。笑顔が自然で、しっかり目を見て話すし、穏やかで寄り添ってくれる感じも良かった。何よりアラフィフ男性特有の、
「自分は違ってない!真面目に生きてきたんだから誰にも文句を言わせないぞ」
という、頑なな雰囲気が全く感じられませんでした。
そしてなんと、一時間ほどのお見合いの席で別れ際に、
「良かったら僕と結婚を前提にお付き合いして下さい」
そうトモナリさんはおっしゃったそうです。
決断が早い男性はスムーズに結婚できる
実はトモナリさんは再婚でした。
彼の仕事は転勤が二、三年に一回とかなり多いのが離婚の理由とのことでした。
聞けば今回のいきなりのプロポーズも、3ヶ月後には転勤が決まっているからのんびり時間をかけて選んでいられない、という背景がありました。
個人差はありますが多くの場合、初婚の方と違って、再婚の方は結婚に対して”過剰な”夢や憧れをもっていません。結婚は夢や憧れではなく現実なのです。
ましてやアラフィフ婚となると、子供が欲しいか欲しくないかで婚活の難易度がガラリと変わります。
トモナリさんからの申し出は、マコさんにとって(婚活に疲れ果ててもう一刻も早く結婚がしたい)と思っていたタイミングで、まさに救世主に見えたそうです。
そうは言っても最初は「付き合う前から結婚の話なんて」、と戸惑っていましたが、お互いの近所に遊びに行ったりしているうちに自然と「この人となら幸せになれるかも」と思い、交際2ヶ月でプロポーズ、と同時に横浜へのお引越しとなったそうです。
念願の専業主婦になってみて
マコさんがいうには、
「夫の転勤がイヤという人は多いかもしれません。でも転勤族の妻ということは、一つの仕事をずーっと続けられないわけですから、私にとっては願ったり叶ったりでした。
最初はそんなにお引越しが多くてやっていけるかな、と少し不安にもなったし、母も心配していたけど、今は旅行気分でいろんな土地の文化や名物を楽しめるからワクワクしています。面倒なご近所関係も、2年もすればサヨナラできると思えば、笑ってスルーできますしね!
なんと言っても、トモナリさんのお料理上手で、朗らかなところが大好きなんです!すっぴんでも、無職でも、可愛いよって言ってくれますしね。『少し落ち着いたらパートくらいしてみたら?毎日ひとりぼっちは辛いでしょう?』とは言われてますけど笑、まあぼちぼち考えます。実は私、婚活中に始めた株でけっこう儲かっていて、あまりお金には不安がないんです」
とのことでした。
結婚をあきらめなかった理由
40歳や50歳のお誕生日を機に婚活をやめてしまうという方、時々おられるようです。が、実際のところ幸せになるのに年齢は関係ありません。
婚活をする時、さまざまな壁にぶち当たりますが、一番大事なことは投げ出さないこと。
また、もしもお金の不安があるなら、結婚して養ってもらう以外の、お金の不安を解消する方法を見つけることも大切です。物価高騰や円安など、経済的な不安を理由に婚活をする人は増加傾向ですが、結婚をお金目当てですると大変なしっぺ返しに合うでしょう。どんな結婚でもそれなりに苦労や我慢はつきものです、ですが、結婚しないと味わえない幸福も必ずあるのです。仲人は、マコさんがくじけそうになるたびにそのことを伝え続けてきました。
私ごとですが、31歳で結婚をしてから子供が欲しかったけれどできずに現在に至ります。
子供ができないなら結婚する意味がない、とおっしゃる男性をお見かけしますが、どうでしょう。
ちなみに、我が家では夫が休日に手作りのパンを焼くのは、妻の私を喜ばせるためだそうです。秋の夜長に一緒にお散歩しながらお月見をしたり、うなぎを食べるためにわざわざ浜松まで旅行したり、そんな自由で身軽な生活ができるのも、子供がいない夫婦ならではかもしれません。
先日は私がぎっくり腰をしたとき、夫が腰をマッサージしてくれて、靴下をはかせてくれました。逆に私がりんごをむいた時、しばしばゲームで両手が塞がっている夫に、「アーン」と食べさせてあげたりします。
日常のささやかな幸福に満たされるのが結婚の醍醐味です。本当に価値のある幸福とは、実はお金では買えないのです。
人生100年時代、孤独に悩んだり老いに不安を抱えながら生きていくよりも、1日でも多く1秒でも長く皆さんが笑って暮らせたらいいなと心底思います。
マコさんも私の家庭の話を聞いて、「荻田さん夫婦みたいなカップルになりたい」と結婚の夢を諦めずに頑張ったから幸せになれたそうです。玉の輿ではないけど、温泉みたいにリラックスできて心地いいと微笑んでいましたので、今回ブログに書かせていただきました。
もう一度言いますが、幸せになるのに年齢は関係ありません。結婚したい、そう思ったならご相談くださいね。
ぶどうの樹結婚相談所 おぎた
























